映像授業は成績が伸びるのか?

映像授業って最近とても増えてきたけど、成績はのびるの?

 

 大学の教育学(正確には教育工学)という授業で、映像授業の効果、メリットやデメリットについて意見を出し合う授業が行われました。教育工学という学問は、近年発展するICTをどのように教育現場に活用していくのが効果的か、を研究する学問です。例えば、中学校の数学の授業をICTを使って効果的に行うには、円や図形を扱う分野で使うのが良いのではないか、ということを検証したりします。(円や図形はパソコンに描かせたほうがはるかにきれいですね。)

 

 

 今回はこれに関連して、映像授業と成績の伸びについて、大学生である私の実体験も交えて考察していきたいと思います。

 

目次

1 映像授業のメリット

2 映像授業のデメリット

3 筆者の考え

 

本文

1 映像授業のメリット

  第1に、映像授業では、ビデオをレンタルしていく感覚で、自分の好きな(勉強においては自分に必要な)講義をいつでも見ることができます。もうここはわかっているよ、とか、得意だよ、といった分野はさっさと飛ばしてしまい、自分がわからなかったところや、苦手分野を何回も見直す時間にあてられます。私も、理解できなかった場所は5回くらいは巻き戻して再生し、自分の頭の中でかみ砕いて理解できるまで、何度も見たことがあります。

 

 

また、早送りしたり、ゆっくり再生する機能も多くの映像授業についていて、この機能を使うことで、飛ばしたり、じっくり理解しながら聞けたりします。

 「先生、もう一度お願いします!」とかいうのを生の授業でいうのは勇気がいるし、それでもわからず、5回や10回も聞き直すことはできません。そんなことをすれば、周りの人が退屈をしてしまいます。

 

 

 第2に、有名だったり、実力のある講師に習えるということです。生授業をしている講師はたくさんいますが、映像授業になると、インターネットを経由することで一回授業を収録してしまえば、いくらでも多くの生徒がその授業を見ることができます。そして、生徒側としては、映像授業だったからと言って、生授業に比べて、多く授業を見る、ということもあまりありません。そのため、必然的に講師の数は少なくて済むのです。つまり、それだけ講師が厳選されています。また、生授業だと、あの実力講師は別のクラスを担当していて、自分のクラスは担当しない、ということもあります。しかし、映像授業ならば、インターネット環境がある人なら全員が同じ条件で見ることができます。

 

 

 さらに、1で説明したメリットと重なりますが、速習が可能な点も大きな利点でしょう。通常、一般の生授業では、週1回で、授業が年40週あるとして、1年間で40コマほど学ぶのが1つの講座の目安です。これを映像授業で自分で進める場合、40コマならば最短で2週間ほどで終わるでしょう。実際僕も一日あたり4コマ位を平均して進めていき、復習も込みで、40コマを2週間と少しで終わらせる、という経験もしました。私は高校二年の夏休みに数学をこのスピードでおわらせたことにより、一気に数学が得意科目になりました。

 

ただし、相当な気合いがいります。気合いさえあれば、いくらでも速習できて、周りに追いつけ、追い越せてしまうのは映像授業ならではです。

 

 

2 映像授業のデメリット

 当然ながら、教育工学という学問で、どのようにICTを教育に活用していけばいいのかが研究されているくらいですから、教育現場でのICT活用には問題もあります。

 

 

 第1に、先ほど述べましたが、気合いややる気が必要です。映像授業では宿題をまったくやらなくても、授業の再生中に寝てしまっても、お菓子を食べていても注意のされようがありません。また、授業が速習できる反面、いくらでもゆっくりと学べてしまいます。極端にいえば月に1コマでもよくなってしまうわけです。そのため、しっかりと計画を立てて、規則正しく、映像だから多少開始が遅れてもいいやというように、自分に甘えずに続けていく必要があります。余談ですが、浪人生になると、これに似たように、勉強そのものを先延ばしにしたりせず、しっかり自分を律していくことがとても大切です。

 

 第2に、集中力が続かなくなることが多いです。集中がどうして映像授業では続かないかというのは、2つほど理由があると考えます。1つは、映像が単調になりがちだからです。特に受験用の動画では、黒板と先生以外映す必要のあるものはありません。そのため、どうしても黒板や先生の映像がほとんどの時間を占めてしまうのです。なんども同じ光景を目にすると次第に飽きてしまいます。これが映像授業の授業中にも起きやすいのです。ちなみに、テレビ番組、特にバラエティなどでは長くても10秒くらいで画面が切り替わっていくはずです。バラエティー番組ですら、そうでもしないと視聴者は飽きてしまうのです。

 

 

 2つ目の理由は、自分への甘えからです。映像授業は巻き戻しが何度でも可能です。一時停止も容易です。また、開始時間も基本的に自由です。そのため、映像授業だから自分が予定していた時間に遅れてもいいや、とか、どうせ巻き戻しできるから、いまは眠いから授業中だけど寝ちゃおうとか、どうしても甘えてしまいます。私も数えきれないほどこの甘えを経験しました。授業時間に遅れたりしてしまうことに慣れ、常習化してしまうと、勉強をする態度そのものも悪いものとなっていきます。勉強すべき時間に遅れてもいいや、という態度になるということは、それだけ勉強を軽く考えている、ということです。そのようなマインドで勉強を続けても、成績は伸びにくいでしょう。

 

 第3に、孤独である、ということです。映像授業では一人ひとり、見る講座も違えば、時間帯も違います。また、一人一人がパソコンの置いてあるブースで見て、周囲の音を完全に遮断するようなイヤホンをして、ただただ画面だけを見ています。そのため、友達ができにくいし、できたとしても、あの授業○○だよね~などという会話はできません。そういう意味でリラックスしにくいでしょう。ちなみに、浪人生になると、すくなくとも僕は映像授業よりもはるかに孤独でした。浪人時代の話はまたの機会にたっぷりと語ります。

 

 最後に、質問ができないというのもデメリットではあります。友達も同じ授業を受けていないわけですから、巻き戻したりするなどして、何とか自力で理解するしかないのです。ただし、この点に関して、私はそれほど困った経験はありません。なぜなら、映像授業の講師は実力のある講師が多いこともあり、質問の余地もない、わかりやすい授業がほとんどでした。 どうしてもわからなければ、自分で参考書で調べるのもよいです。これはこれで勉強になります。

 

 いかかでしたでしょうか。デメリットもありますが、私は、映像授業で学ぶことはとても良いと考えています。

 

 しっかりと、自分を律する力さえあれば、自分のやりたいペースで、必要な勉強を必要なだけ、しかも素早く行うことができます。そうすれば、成績は必ず伸びるでしょう。そのためにも、早めに自分を律する力を身につけ、受験勉強を効率よく映像で終わらせてしまいましょう。

 

 また、自分を律する力は受験勉強のだけでなく、日常生活にも活かすことができます。例えば、よくありがちなスマートフォンをだらだらとみてしまう、といったようなことです。映像授業を契機に自分を律する力を身に着けておけば、減らすことができるようになります。このように、勉強以外でもとても大切な力なのです。

 

受験を通して、成績を上げると同時に、さまざまな勉強以外の力も身につけてしまいましょう!