熊本城 復興

 

 2019年3月熊本城に旅行に行きました。

 

 ご存じの通り、熊本県を中心とする地域は2016年に発生した熊本地震で大きな被害を受けました。しかし、熊本に住んでおらず、テレビなどで少し情報を手に入れただけ、という人も多いでしょう。大きな災害であっても、現地に住んだことがなかったり、行ったことがない人にとっては、どうしても現地で実際に経験した人に比べて実感がわきにくいものです。これは仕方のないことです。

 

 私は東日本大震災が発生する3年前まで、岩手県に住んでおり、実際にのちの東日本大震災津波による甚大な被害を受けた沿岸地域も何度も訪れたことがありました。沿岸部で釣りをしたり、潮干狩りをしたり、展望台に上ったり、と沢山遊んだ経験がありました。そのため、東日本大震災発生時は東京に住んでいましたが、テレビで少し地震津波の報道を聞いただけで、まるで現地で実際に体験しているかのような強い実感がわきました。その後復興が徐々に進んでいく様子も、複数回にわたり、実際に見に行きました。

 

 このように、現地の様子を実際に見ることは、そこで起こったことを理解するのに、非常に重要です。

 

 そこで、震災復興に興味にある私は、今回九州旅行の最後に熊本城を訪れました。今回は、現在(2019年3月)の熊本城の様子をお伝えします。

 

熊本駅から、路面電車に乗って、15分ほどで熊本城前の停留所に到着します。

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熊本 路面電車

 

 

そこから5分ほど歩くと熊本城の入り口につきます。私は、熊本城に行く前、お城はだいぶ修復されていて、石垣の近くくらいまでは見学できるのかな、と思っていました。しかし、熊本城へ向かう道はすべて閉鎖されており、隣接する公園側から熊本城を見ることしかできませんでした。

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地震後に訪れる観光客向けに設置された看板

 この写真からも分かるように、城内には順路が書いてありません。落石の危険があるため、立ち入りが規制されています。

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立ち入り禁止

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 路面電車にはたくさんの外国人が乗っており、熊本城の停留所で大勢の外国人の人が降りていきました。しかし、このように立ち入り禁止の看板ばかりであるので、中に入れず、彼らは少し困惑している様子でした。

 

 

 結局、案内を見たところ、隣接する公園側から熊本城の外観が見れます、と書いてあったので、案内の通りに行ってみました。

 

 公園側からみた熊本城が次の写真です。

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熊本城 公園側から

 

 このように、工事中なのがわかります。

 

 そして、もう少し近くで、石垣の見える場所があったので、行きました。

そこは、、、

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  このようにかなりの部分が崩れたままに残されています。

 

 熊本城に行くまでは、ここまで地震の被害の爪痕がまだ残っているとは思っていませんでした。そのため、この光景を見たときは、ものすごく驚きました。そして、震災被害からの復興は、数年でできるものではないと、身に染みて感じました。

 

 

 また、熊本城の復興がなかなか進んでいない理由はもう一つありました。

それは、熊本城が歴史的建造物だからです。単に、崩れたり、欠けたりした石をうまい具合に重ねて元通りにすればいいわけではないのです。完全に元の姿に戻すことが求められるのです。つまり、欠けたりした石はもともとくっついていた石はどれなのか、科学的に分析した上で、その石同士を貼り合わせます。さらに、貼り合わせたそれぞれの石を元通りの高さで、元通りの順番で積みあげるのです。

 

 そのため、下の写真のように、一つ一つの石に、崩れた地点などの情報が書き込まれているのです。

 

 膨大な数の石が崩れてしまい、ばらばらになってしまったわけですから、それを修復するのは気の遠くなりそうな作業が必要なのです。

 

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番号の割り振られた石

 

 実際、現地に行ったことで、お城を修復するのはとても大変な作業なのだ、ということを強く感じました。

 

 これと同様に、東日本大震災熊本地震もですが、なかなか復興するのは大変なのです。現地に行くと、現地の抱えている問題、苦労などが手に取るようにわかります。

そして、現地で起きているリアルな現状を伝えていくことはとても大事なことだと思っています。